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高齢者施設で新型コロナウイルスクラスター発生!レッドゾーン勤務になりました
コロナに感染した利用者さん達は基礎疾患がある方、ワクチン未接種の方、ワクチン3回摂取済の方と様々でした。
PCR検査で陽性が判明した際に無症状だった利用者さんが半数でしたが、酸素投与、点滴が必要な利用者さんも数名いました。
コロナ感染後からその後の利用者さん達の経過についてお伝えします。
看護師SAKURAのプロフィール
九州在住、看護師歴25年以上
病院(病棟・外来)・特別養護老人ホーム(機能訓練指導員)・透析クリニック・デイサービス・老健施設への転職経験があり、数多くの面接を受けてきました。
現在はリハビリ特化型のデイサービスで機能訓練指導員として在籍中です。
目次
感染後の利用者さん達の症状は?
コロナに感染した利用者さんは60歳代から90歳代で、基礎疾患のある方や退所前の方、日常生活が全介助の方など様々でした。
感染後は1/3の方が無症状でしたが、咽頭痛・湿性咳嗽・食欲不振などの症状がみられ入院治療が必要な方もいました。
基礎疾患(肺気腫)のあった利用者さんの症状は?
肺気腫の既往があるY田さんは38℃以上の発熱、Spo2が80%後半、湿性咳嗽などの症状がありまました。
酸素2リットル投与・抗生剤の点滴など行っていましたが、症状はあまり改善せず老健施設で行える治療には限界がありました。
何度か保健所に入院できないか打診していましたが、ハイリスク因子はあるが入院対象ではないと言われました。
介助で食事はほぼ全量摂取できていましたが、徐々に「息苦しいから食べれない。」と訴えられるようになりました。
ご家族が入院治療を希望され、コロナ感染から2週間後にようやく入院できました。
食事をまったく食べれなくなった利用者さん
元々、食が細かったS田さんはコロナ感染後から徐々に食事摂取量が減っていました。
食べれない理由を尋ねても「お腹が空かないから食べたくない。」と話され、食事量を減らし、高カロリーゼリーやジュースなど試しましたが摂取量は増えず点滴が必要になりました。
保健所の担当者に相談したところ、他の高齢者施設でも食欲低下の方が多いみたいで中には症状が2週間ぐらい続いているケースもあるみたいでした。
S田さんも2週間ぐらいは点滴をしながら、栄養士さんに相談し色々な補助食品を提供しましたが、お菓子(クラッカー、おっとっとやハッピータンなど)が一番たべられました。
元々はおはぎなどの甘いお菓子が好きだったのですが、塩味のお菓子の方が美味しそうに食べてくれました。
その後、食欲にムラはありますが、5~7割ぐらいは食べられるようになっています。
無症状だったけど意欲・ADLが低下した利用者さん
コロナ感染前は歩行器でトイレに歩いて行かれていたN野さん。
コロナ感染後はパーソナルスペースが限られたレットゾーン(研修室)で10日間過ごされ、トイレのないレットゾーンだったため、ポータブルトイレを使用してもらっていました。
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1日に4~6回のトイレまでの歩行が下肢筋力低下予防にもつながっていたN野さんにとって、歩行の機会が失われたことの弊害は大きかったです。
認知症の症状もすすみ、食事を食べたかどうか分からなくなり、「なんだか頭がおかしくなってきた。もうダメだね。」と話され、大好きだったテレビも見なくなってきました。
ベットサイドで足踏み運動などに一緒に取り組んだり、一緒にテレビを見たりする時間を作るようにしました。
その後、コロナ感染前と同じようにトイレまで歩行器を使用し歩行可能ですが、意欲の低下が進み他利用者との交流の機会が減っています。
感染の認定看護師から助言されたこと
利用者さんからコロナ感染者が出た際に行政から派遣された感染の認定看護師が指導のために来園されました。
その際に自分が感染しないようになるべくレッドゾーンに入る機会を減らすようにした方がいいですと助言されました。
しかし、感染した利用者さん同士も話をすることはほとんどなかったため、レッドゾーンの利用者さん達と触れ合うことができるのはレッドゾーン勤務の看護師だけでした。
高齢者施設では感染の認定看護師から言われたように看護師がレットゾーンに入る機会を減らすことがレットゾーンから出た後の利用者さんに影響が出てしまうことを考えてしまいます。
とレッドゾーン勤務の他の看護師さん達と話合い、感染予防に努めながらレットゾーンの利用者さんとコミュニケーションを図り、機能訓練も実施していました。
まとめ
レッドゾーン勤務になった際、コロナに感染した利用者さん達を重症化させずに、レットゾーンから出してあげたいと思っていました。
感染した利用者は15名いましたが、幸い重症化した利用者さんはいませんでした。
しかし、入院された利用者さんが2名・点滴が必要だった利用者さんが4名、酸素投与が2名いて、現在も入院中の利用者さんや酸素投与が必要な利用者さんがいます。
重症化しなくても高齢者がコロナに感染すると「動かないこと(生活不活発)」による健康への影響が心配されています。
うちの老健施設内でのコロナは終息しましたが、筋力や認知機能の低下、食欲不振などの影響はまだ続いています。
今回のレッドゾーン勤務を経験し、感染した利用者さんがのちにこのような影響を引きずらないようにするには感染当初からレットゾーンに看護師以外の職種も入り、一緒に体調管理や機能訓練、生活援助に取り組むことが必要だと感じました。
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2022年2月に発生した新型コロナウイルスクラスター時の老健施設での取り組みについて4回に分けてまとめましたが、半年後に再度クラスターが発生し利用者&職員の1/3が感染し、私自身もコロナに感染してしまいました。
2回の新型コロナウイルスクラスターで老健施設で重症化しそうな利用者の看護はとてもストレスがかかり、また人員不足で24時間勤務をしないといけない時期もあり体力的にもメンタル的にも疲弊してしまいました。
老健施設などの高齢者施設の看護師は新型コロナウイルスクラスターの対応に追われ大変でしたが、病院の看護師のような賃上げはなく、介護職のような処遇改善加算もありません。
看護師の賃上げ問題についての詳しい記事は次の記事をご覧ください。
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今後、高齢者施設の看護師にも待遇面での見直しを看護看護協会の方々にご尽力していただきたいです。
理由は転職候補の介護施設や病院の情報を教えてもらえたり、給料や勤務条件などの交渉を代わりに担当者の方がやってくれるからです。
以下の記事では看護師転職サイトについて体験談です。こちらの記事もぜひ併せて読んでみてください。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。
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