在職中に転職先を見つける余裕がないため、退職後にハローワークに通い求職活動を行う予定です。


2025年4月の雇用保険制度の改正では、自己都合退職の場合の失業給付(基本手当)の給付制限が大きく緩和され、従来2か月ある給付制限が1か月に短縮されます。
基本手当を早期に受給しやすくなることで、退職後の経済的な不安が軽減し、心の余裕を持ちながら転職活動に専念できます。
しかし、基本手当はあくまで失業時の生活保障という目的で支給されるため、もらえる金額が不十分な可能性もあります。

再就職手当の金額は、支給残日数 × 基本手当日額 × 60%または70% で算出されます。
この記事では、過去3年以内に再就職手当の受給なしという条件の方に向けて、退職後に「損をせず、なるべく多く再就職手当をもらうためのポイント」をまとめました。
目次
■ 再就職手当とは?
再就職手当とは、基本手当(いわゆる失業保険)の受給資格がある人が、所定の条件を満たして早期に就職した場合に支給される制度です。

支給額は、所定給付日数の支給残日数×給付率×基本手当日額((注意1) 一定の上限あり)となります。
給付率については以下のとおりとなります。
-
基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上の方は、
所定給付日数の支給残日数×70%×基本手当日額((注意1)一定の上限あり) -
基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上の方は、
所定給付日数の支給残日数×60%×基本手当日額((注意1)一定の上限あり)
(注意1)基本手当日額の上限は、6,395円(60歳以上65歳未満は5,170円)となります。(毎年8月1日以降に変更されることがあります。)
■ 再就職手当を多くもらうための条件(2025年版)
再就職手当の給付を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 待機期間(7日間)経過後に就職すること
- 就職日の前日時点で所定給付日数の3分の1以上が残っていること
- ハローワークの紹介での就職、またはハローワークに事前に届出をして就職すること
- 1年以上継続して雇用される見込みがあること
- 過去3年以内に再就職手当を受けていないこと
■ 具体的なスケジュール(6月末退職の場合)
6月末に退職した場合、なるべく多く再就職手当の給付が受けるために、具体的にどのように行動すればよいのかまとめてみました。
日付 |
内容 |
6月30日 |
退職日 |
7月1日〜 |
※離職票が届き次第、ハローワークで求職申込と受給手続き |
7月上旬 |
雇用保険説明会・受給資格決定 |
手続きから7日間 |
待機期間(この間は就職NG) |
7月中旬以降 |
再就職活動スタート(ハローワークの紹介が望ましい) |
8月初旬までに |
再就職が決まれば、再就職手当の申請が可能 |
※離職票とは、離職したことを証明する公的な文書で、退職後に基本手当(いわゆる失業給付金、失業手当)の受給手続きをする際に必要となる書類です。
ハローワークが発行(交付)しますが、会社を通じて発行の手続きをします。
会社にとって離職票の発行は義務ではないため、希望する退職者にのみ発行手続きを進めることがあります。
退職後に失業手当を受け取りたい場合は、忘れずに会社に申し出ておきましょう。
退職後すぐに転職して働く場合や、失業手当を受給する予定のない人は、発行してもらう必要はありません。
引用:マイナビ転職

給付制限期間中でもハローワークで紹介された求人であれば再就職手当の支給が適応されます。
出典:ハローワークインターネットサービス「再就職手当のご案内」
失業保険の申請日(受給資格決定日)以降の7日間の待期期間中に内定をもらった場合、待期期間中に入社をしてしまうと再就職手当を受け取れなくなってしまいます。内定をもらっても入社日は申請日から8日後にするようにしてください。
失業保険の所定給付日数
失業保険の所定給付日数は、次の3つの離職理由によって決まり方が異なります。
①特定受給資格者および特定理由離職者
特定受給資格者とは、主に倒産や解雇などの理由で離職した方で一定の要件を満たす方が該当します。
労働条件の相違や賃金の未払い・低下、長時間労働、妊娠・出産・育児や介護中などの法令に違反した強制労働、上司や同僚からの嫌がらせなどの理由で離職を余儀なくされた方も対象です。
特定理由離職者とは、主に以下に該当する方のことです。
- 期間の定めのある労働契約が満了し、その労働契約の更新がないことで離職した方
- 以下の正当な理由により自己都合で離職した方
正当な理由には以下のようなものが挙げられます。
正当な理由の種類 | 例 |
体や心の状態による理由 | ・病気やケガ、心身の障がい、体力の不足、妊娠 ・出産 ・育児など |
家庭の事情が急変した | ・父母の死亡・病気・ケガなどの理由で扶養するために離職を余儀なくされた ・常に看護が必要な親族の病気、ケガなどのために離職を余儀なくされた |
配偶者または扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となった | ・経済的な理由から夫が単身赴任を続けることが難しくなり同居を余儀なくされたが、その場所からの通勤が難しい |
通勤不可能または困難となった | ・結婚にともなう住所の変更 ・育児にともなう保育所などの利用、または親族などへの保育の依頼 ・事業所の通勤困難な地への移転 ・自己の意思に反する住所または居所の移転 ・交通機関の廃止や運行時間の変更など ・事業主の命による転勤または出向にともなう別居の回避 ・配偶者の事業主の命による転勤や出向、配偶者の再就職にともなう別居の回避 |
希望退職者の募集に応じた離職 | ・企業整備による人員整理など |
これらの理由に該当する方の所定給付日数は、以下のとおり、5つの年齢区分ごとに90日~330日の期間で定められています。
雇用保険の加入期間(被保険者であった期間) | ||||||
1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 | ||
区分 | 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | - |
30歳以上 35歳未満 |
120日 | 180日 | 210日 | 240日 | ||
35歳以上 45歳未満 |
150日 | 240日 | 270日 | |||
45歳以上 60歳未満 |
180日 | 240日 | 270日 | 330日 | ||
60歳以上 65歳未満 |
150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
②就職困難者
就職困難者とは、以下に該当する方です。
- 身体障がい者
- 知的障がい者
- 精神障がい者
- 刑法等の規定により保護観察に付された方
- 社会的事情により就職が著しく阻害されている方など
一般的な方より就職の難易度が高くなることが予想されるため、下表のとおり他の離職理由より所定給付日数が多く定められています。
●就職困難者の所定給付日数
雇用保険の加入期間(被保険者であった期間) | |||||
1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 | ||
区分 | 45歳未満 | 150日 | 300日 | ||
45歳以上65歳未満 | 360日 |
出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」
①と②いずれにも該当しない離職者
①と②で紹介したいずれの理由にも該当しない離職者(正当な理由がない自己都合退職者など)の所定給付日数は以下のとおりです。
他の離職理由と異なり、年齢による区分はなく、所定給付日数も少なくなっています。
●その他の離職者の所定給付日数
雇用保険の加入期間(被保険者であった期間) | ||||||
1年未満 | 1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 | ||
区分 | 全年齢 | - | 90日 | 120日 | 150日 |
出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」
■ 再就職手当の支給率と目安金額(具体例)
無職期間もありましたが、トータル25年以上の雇用保険加入期間がある私(40歳代後半)の再就職手当の支給率と支給額の目安を調べてみました。
20年以上雇用保険を払っており、給付日数が最大150日の場合
- 30日間(7日間の待機+23日以内の再就職)で再就職すれば、
支給残日数:約120日以上 → 70%支給
仮に基本手当日額が6,000円だとしたら…
120日 × 6,000円 × 70% = 504,000円

再就職手当を最大限活用するコツ
■ まとめ:タイミングと紹介ルートがカギ!
退職後すぐに動き出すことで、再就職手当は大きな支援になります。
特に、
- ハローワーク経由での応募
- 待機期間終了後、なるべく早く再就職
- 所定給付日数をたっぷり残しての再就職

50万円以上の再就職手当はもらえれば生活の立て直しにとても助かります!!
焦らず、でもタイミングを逃さないように、計画的に転職活動にのぞんでくださいね。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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