口腔ケアを行うことは、口の中を清潔することだけが目的ではありません。
高齢者の口腔内は唾液の分泌量の減少のため自浄作用が低下し、ドライマウスや歯周病がの原因になります。
また、口腔ケアをおろそかにしてしまうことは、口腔内だけ問題だけではなく、全身の健康へ影響をもたらしてしまう恐れもあります。

この記事では、私が歯科衛生士さんに習った高齢者の効果的な口腔ケアのポイント、便利グッズなどについてお伝えします。
高齢者の口腔ケア不足が招く健康リスク

高齢者の口腔ケアが不足すると、以下のような健康リスクが生じます。
(1) 歯周病
歯周病は歯茎の炎症から始まり、進行すると歯を支える骨が溶けて歯が抜ける原因となります。
高齢者は免疫力が低下しやすく、歯周病の進行が早まる傾向があります。
また、歯周病菌は血流を介して全身に広がり、糖尿病や心疾患、脳卒中のリスクを高めることが分かっています。
(2) 口臭
口腔内の細菌が増殖することで、強い口臭を引き起こします。
特に、義歯を適切に清掃していないと臭いの原因になりやすくなります。
また、唾液の分泌が減少することで自浄作用が低下し、口臭が悪化するケースも多く見られます。
(3) 誤嚥性肺炎
口腔内の細菌が唾液や食事とともに誤って気管に入り、肺に感染を引き起こすことで誤嚥性肺炎が発症します。
高齢者は嚥下機能が低下しやすく、食事中や睡眠中に唾液が気管へ流れ込みやすくなるため、特に注意が必要です。
誤嚥性肺炎は高齢者の死亡原因としても多く、予防が重要です。
(4) 栄養不足
口腔内の状態が悪化すると、食事の際に痛みが出たり、うまく噛めなくなったりして、栄養バランスの偏りが生じます。
特に、硬いものを避けることでタンパク質や食物繊維の摂取量が減り、低栄養や筋力低下を招くことがあります。
低栄養状態が続くと、免疫力の低下や骨粗しょう症のリスクも高まります。
(5) 口腔乾燥症(ドライマウス)
加齢や服薬の影響で唾液の分泌が減少し、口腔乾燥症(ドライマウス)を引き起こすことがあります。
口腔乾燥症は口内炎や虫歯の原因になるだけでなく、嚥下障害や味覚障害を招く可能性もあります。
高齢者の口腔ケア対策

毎日の歯磨きと歯間清掃
・朝晩2回、フッ素入りの歯磨き粉を使用して丁寧に歯を磨く。
・歯間ブラシやデンタルフロスを使用して、歯と歯の間の汚れを取り除く。
口腔ケア時に、唾液腺を刺激するとより効果的です。

口腔内の保湿
・高齢者は唾液の分泌が減少しやすいため、水分補給をこまめに行う。
・口腔保湿ジェルやスプレーを使用して、口腔内の乾燥を防ぐ。
義歯の適切な管理
・義歯を毎日洗浄し、食べカスや細菌の繁殖を防ぐ。
・定期的に歯科医で義歯のフィット感を確認し、調整する。
定期的な歯科受診
・3〜6ヶ月ごとに歯科検診を受け、口腔内の健康状態をチェックする。
・専門的なクリーニングを受け、歯垢や歯石を除去する。
口腔体操の実施
・口周りの筋力を維持するために「パタカラ体操」などの口腔体操を行う。
食事前に10分で出来る高齢者におススメの口腔体操
・食事中によく噛む習慣をつけ、唾液の分泌を促進する。

口腔ケアのおススメ便利グッズ

歯科往診を受けられている利用者さんは様々です。
様々な利用者さんに向けのおススメ口腔ケア用品をご紹介したいと思います。
自力で歯磨きができるが磨き残しがある利用者さん
特別養護老人ホームで一番多かったのが、自力で歯磨きができるが磨き残しがある利用者さんした。
このような利用者さんは、短時間で歯ブラシのみでケアをされている方が多く、舌や歯間、歯の裏側、奥歯などのケアが不十分は方が多いです。

舌ブラシ
舌はあまりゴシゴシ磨かずに、優しく磨くことが大切。
歯間ブラシ
高齢者の方でも持ちやすいため、使用しやすいタイプです。
電動歯ブラシ
高齢者の方は歯ブラシでのブラッシングはうまく手首を使えていない場合が多いです。
歯科衛生士さんのススメで電動歯ブラシを使用された利用者さんが
「これなら手を動かさなくて、歯に当てるだけでいいから楽。」
と好評でした。
歯磨きが嫌いで自力で出来るのにされない利用者さん
歯磨きが嫌いで自力で出来るのにされない利用者さんは、総入れ歯の方や男性の利用者さんに多かったです。
総入れ歯を使用している高齢者でも、口腔ケアは重要です。
その理由として以下が挙げられます。
・入れ歯に付着した細菌が繁殖し、口臭や感染症の原因になる。
・義歯の清掃を怠ると、カンジダ菌(真菌)が増殖し、口腔カンジダ症を引き起こす。
・歯茎や粘膜が不衛生な状態になると、炎症や口内炎が発生しやすくなる。
・唾液の分泌が減少することで、口腔内が乾燥し、嚥下障害や誤嚥性肺炎のリスクが高まる。
そのため、総入れ歯の方も毎日の入れ歯の清掃と、口腔内の保湿・マッサージを行うことが大切です。

モアブラシ
総入れ歯でも口腔内の粘膜には細菌がいっぱい。このモアブラシはとても柔らかいので、気持ちよく口腔内をケアできます。
お口キレイウエットシート
歯磨き自体が嫌いな利用者さんには、せめてうがい後にこれで口の中をふき取ることから
はじめてみてもいいかもしれませんね。
義歯ブラシ
意外と多かったのが歯磨き粉で義歯をゴシゴシ磨いている利用者さん。
歯磨き粉の中には研磨剤が入っているため義歯に傷がついてしまいます。
義歯ブラシで水洗いし、義歯洗浄剤を使用しましょう。
洗口液
このコンクールFはよく歯科医の受付でも販売している物で、高い殺菌力と効果が持続しやすいため、おススメです。
特別養護老人ホームでも利用されている方が多く、息もさわやかになります。![]()
経管栄養など経口摂取が困難な利用者さん
経口摂取が困難な高齢者も口腔ケアを怠ると、以下のリスクが高まります。
・唾液の分泌が減少し、口腔内が乾燥して細菌が繁殖しやすくなる。
・舌苔やプラークが蓄積し、口臭や感染症の原因となる。
・誤嚥のリスクがなくても、口腔内の細菌が気管に入り、誤嚥性肺炎の発症につながる。
・歯茎や粘膜の健康を維持しないと、感染症が発生しやすくなる。
そのため、経管栄養の方も歯や口腔粘膜の清掃を行い、口腔環境を清潔に保つことが重要です。

吸引クルリーナ
経管栄養など経口摂取が困難な利用者さんは、吸引しながらブラシで口腔内を磨ける吸引クルリーナがおススメです。
リフレケア・スポンジブラシ

です。
吸引クルリーナで口腔ケア後にリフレケアをスポンジブラシつけて、口腔内に塗布していました。
乾燥予防や歯周病予防、口臭予防に効果があります。はちみつ風味は人気でした。
吸引クルリーナを使用する際の注意点
- 使用前にブラシを水洗いし、水分を軽くとる。
(べちゃべちゃに濡れたまま使用すると誤嚥をさせてしまう恐れがあります。)
- 吸引クルリーナはペンを持つように軽く握り、声かけをしながら優しく頬の内側、口蓋、舌の奥から手前へブラシを当てる。
- 口腔ケア後は口腔内に保湿ジェルを塗布し、爽快感を感じてもらう。
口腔ケアをしっかりと行うことで、誤嚥性肺炎を起こすリスクが軽減できます。
まとめ
高齢者の口腔ケアは、歯や歯茎の健康を守るだけでなく、全身の健康維持にも大きく関わっています。
日々の適切な口腔ケアと定期的な歯科受診を習慣化し、誤嚥性肺炎や栄養不足を防ぐことで、健康で快適な生活を送ることができます。
他の人に口を触られるのは嫌ですよね。
なるべく短時間でキレイにしてあげるために口腔ケアの便利グッズをうまく活用してください。
高齢者施設で食欲不振の利用者さんや嚥下機能が低下している利用者さんに提供されているおススメの栄養補助食品についての詳しい記事こちらをご覧ください。
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