
以前、勤務していた老健施設の夜勤は利用者75名に対して看護師1名、介護職3名で16時から翌日の9時までの勤務でした。
休憩時間は交代で2時間ずつなのですが、実際には看護師は重症症者の対応や吸引・点滴管理のため2時間も休憩は取れていません。
夜勤がもたらす心身の弊害や老健施設看護師の夜勤についてお伝えします。
目次
老健施設の夜勤の流れ
★以前、勤務していた老健施設の夜勤看護師のタイムスケジュール★
夜勤看護師は16時半から日勤看護師から申し送りを受けた後、夜勤介護職と遅番介護職と一緒に夕食の準備・夕食介助・口腔ケア・トイレ介助・臥床介助・オムツ交換を行います。
体調不良の利用者のバイタル測定や吸引処置、眠前薬の配薬&点眼、点滴管理なども看護師が1人で行う必要があり、21時の消灯時間まではとても忙しいです。
消灯(21時)後は看護師1名と介護職1名で2階フロア(体調不良者、介護度が高い)を担当し、3階フロア(比較的自立度が高い)は介護職2名で担当しますが、3階フロアの利用者の中にも医療的なケアが必要なケースもあります。
休憩時間は看護師は0時~2時・介護職が2時~4時と2時間ずつなのですが、休憩中も吸引が必要な時や体調不良がいると介護職に呼ばれるため、夜勤看護師は休憩時間でも仮眠をとることはほぼできません。
休憩後の2時~4時は介護職が休憩中のため一人になりますが、この時間帯は寝てていてほしい利用者さんが覚醒しだす魔の時間帯なんです。
オムツを外して部屋から出てくる利用者さん
「誰か来てください~。」と叫びだす利用者さん
ベットから起き上がろうとされる転倒リスクの高い利用者さん
など、
上記のような利用者さんの対応をしながら朝の経管栄養の準備、体調不良の対応、吸引、ラウンドを行います。
4時、介護職が休憩終了後にオムツ交換へ。オムツ交換後は、経管栄養の利用者さん(6~8名程)の口腔ケアを行い、経管栄養を開始します。
起床された利用者さんのバイタル測定、洗面・排泄介助を行います。
7時 血糖測定(4~6名程)&インスリン、経管栄養の片付け。
7時45分 朝食の食事介助。
8時半 日勤者へ申し送りを行い、記録。
9時 終業
(ただし、この時間に退社は申し送り&記録が業務が終わらず不可能です。)
老健施設の夜勤看護師が辞めたくなった出来事

<ケース1>事務長の言葉に激怒
夜勤手当が看護師と介護職が同額(6000円)だったので事務長に看護師の夜勤手当の増額を求めた際、

「利用者さんが寝ている夜勤帯はそんなに忙しくないでしょう?」
と言われたそうです。
夜でも急変はあるし、寝ない認知症の利用者が多くて大変なのに・・・。 もう老健施設の看護師辞めて、夜勤のないクリニックに転職したい。
この事務長の発言に他の看護師は激怒。

<ケース2>無意味な朝礼で感じる虚しさ
朝の朝礼(夜勤者・施設長・事務長・ケアマネ・リハ・栄養士などが参加)で夜勤者が不穏で一睡もしなかった利用者さんや急変した利用者さんの報告しても、無関心な反応。
他の職種も他人事みたいに報告を聞いているし、報告していて虚しさを感じる。
現場は朝食後のケアで忙しい時間帯なのに、こんな意味のない朝礼なんてやめてほしい。

夜勤者は朝礼に参加し、夜勤帯の報告や今日の予定を報告します。
夜勤看護師はこの朝礼で利用者の状態報告をした際の他職種の反応の鈍さに、大変だった夜勤帯の自分達の頑張りを理解してもらえていない虚しさを感じていました。
16時間勤務後の疲れ切った体に追い打ちをかけるかのように他職種の無反応。
正直、夜勤者からの報告以外のケアマネや事務長からの業務連絡は書面でいい内容。 早く廃止してほしいです。
<ケース3>急変時に一人で対応しないといけないストレス
介護職は処遇改善手当もつくし、看護師辞めて介護職になった方がいいんじゃないかと思った。
利用者が急変しても、経験年数の浅い介護職だけでは不安です。

夜勤帯の利用者さんの急変は結構あります。
夜勤看護師1人で対応が大変な場合は師長又は主任を呼び出すこともありますが、出勤してくるまでの時間は看護師は1人です。
介護職は経験年数の浅い人が多いため、ほぼ協力は得られません。
看護師の夜勤がもたらす心身への弊害
夜勤をする看護師は、日勤勤務のみの看護師よりも体調不良に悩まされることが多いのは何故でしょうか?
体温が高い昼間は活動に、低い夜間は睡眠に適していて、睡眠の質も夜間の方が高いとされています。
夜勤後に眠れたとしても熟睡はできず、体の疲れはとれず、生活のリズムが狂いがちになります。
生活のリズムが狂うとどうなるの?
夜勤など不規則な生活を送っていると生活リズムが狂いやすく、以下のような心身への弊害が起こりやすいといわれています。
①不規則な生活は幸せホルモンと言われる【セロトニン】の分泌に支障をきたし、うつ病などになり やすい。
②肥満やメタボ、糖尿病などのリスクが高くなる。
③WHO(世界保健機関)では日勤+夜勤ありのシフトは日勤勤務のみの人よりも発がんリスクが高いと認められている。
幸せホルモンと呼ばれるセロトニンをふやすには?
セロトニンは体内で作ることができ、その材料となるのがトリプトファンと呼ばれる必須アミノ酸です。
体に取り入れられたトリプトファンは昼間はセロトニン、夜は睡眠を促すメラトニンに変化します。
トリプトファンを体内に取り入れましょう
トリプトファンはが多く含まれる食べ物って何?

必須アミノ酸のトリプトファンが多く含まれる食材
大豆製品(納豆、豆腐、味噌など)・乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズなど)・米・バナナ・卵・ごま・ピーナッツ
☆肉や魚にも含まれますが、脳内に取り組みやすい植物性たんぱく質がおすすめです。
☆特におすすめはバナナ。セロトニンの材料として必要なビタミンB6・炭水化物を含み、効率的に作り出すことができます。
食品以外で手軽にトリプトファンを効率よく取り入れるにはサプリメントがおススメです。
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まとめ
高齢者施設(老健施設)の夜勤と病院の夜勤の大きな違いは、医師が不在・看護師が自分1人であることです。
日勤勤務のみでしたら病院よりも老健施設の方が慌ただしさはないかもしれませんが、夜勤は老健施設ならではの大変さがあります。
老健施設でも急変はあるし、看取り対応の利用者さんもいるため看護師1人という状況は経験年数の豊富な看護師でさえもストレスを感じています。
「病院の看護師は大変だから、老健施設の看護師になって少しゆっくりと働きたい。」という理由で、老健施設への転職を考えられている看護師さんにはあまりおすすめしません。
老健や特養など高齢者施設への転職は施設見学や面接だけでは働きやすい職場なのか判断が難しいので、看護師転職サイトの利用をおススメします。
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