老健施設

新型コロナクラスター発生で疲弊した高齢者施設の看護師が退職を決意した理由

 

令和4年、全国各地の高齢者施設で新型コロナのクラスターが発生しました。

 


泣いている私
私の勤務する老健施設でも2月と8月にクラスターが発生し、半数以上の利用者が新型コロナウイルスに感染してしまいました。

 

感染した利用者の中には酸素吸入・点滴・吸引処置が必要な中等度の方も数名いたため、看護師はレッドゾーンとグリーンゾーンに配置され10日以上休みなしの勤務でした。


クラスターが発生しても看護師以外の職種はきちんと休日がとれて、看護師は休みなしで勤務するのが当たり前。


高齢者施設の看護師はクラスターが発生時に重症化しても入院できない利用者の看護に追われ、クラスター終息後に

「次のクラスターが発生する前には辞めたい。もうあんな思いはしたくない。」
と退職した看護師もいました。

 

この記事では高齢者施設でのクラスターの発生時の状況とクラスター終息後に看護師が退職を決意した理由とについてお伝えします。

 

 

 

 

高齢者施設で2回目のクラスターが発生!! 半数以上の利用者が陽性

 

うちの老健施設では2回のクラスターが発生しました。


1回目のクラスターが発生した時の状況についてはこちらの記事をご覧ください。

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2回目のクラスターは38℃以上の発熱をした利用者が数名でて、もしかしたら・・・と抗原検査をしたところ見事に陽性。

翌日、利用者と全職員のPCR検査を行ったところ職員2名と利用者5名が陽性。


その後も3日おきぐらいに行われたPCR検査のたびに新たな陽性者が出てしまい、最終的には半数以上の利用者が感染してしまいました。

 

 

半数以上の利用者にコロナ感染が広がってしまった原因

 

1回目のクラスターよりも利用者のコロナ感染が広がった原因

①感染力の強いオミクロン株であったこと

②比較的自立できている利用者が感染したため、同じトイレや洗面所を使用していた利用者間での感染者がでた

③隔離が難しい利用者が多く、居室からでて他利用者との接触が防止できなかった

④イエローゾーンの介護職から感染者がでた

 

コロナに感染した利用者のうち3/2の方は一か月前にコロナワクチン3回目を接種していて、重症化して入院になった利用者は1名でした。


発熱・咽頭痛などの症状がみられた利用者も3日目ぐらいには軽快しました。

 

 

コロナクラスター発生で看護師がストレスを感じたこと

 

 

感染した利用者の看護業務以外でストレスを感じたのが、感染した利用者とその家族からのキツイ言葉でした。

 

感染した利用者から

「ワクチン打ったのになんで感染したのか!!」

「なんで10日間も部屋から出たらダメなんだ!!」

「俺にコロナを感染させたのは誰か!!」

 

 

感染した利用者の家族から

「職員がコロナをもちこんだんですよね。ちゃんと感染対策はしていたのですか!!」

「すぐに入院させてください。もし何かあったらどうするんですか!!」

 

2回目のクラスターは真夏でフル装備のPPEでのレッドゾーン勤務はかなり大変で、体力も気力も消耗しました。

 

レッドゾーン勤務の大変さは他職種からもあまり理解されず、
「看護師がレッドゾーン勤務するのは当たり前。」と対岸の火事のような反応の職員もいました。

 

感染した利用者とその家族からのキツイ言葉は対応した看護師に大きなストレスを与えました。

 

出勤前の体温測定&体調チェック、手洗い&マスク着用、休憩は車内、家族以外の会食や県外への外出は禁止・職員&利用者のワクチン接種など感染予防はきちんと行っていました。

 

泣いている私
それでも2回のコロナクラスターが発生しました。
これ以上どうすればコロナクラスターは発生しなかったのでしょうか・・・。

 

肉体的な疲労は休養すれば回復しますが、精神的な疲労は回復するまでに時間を要し、場合によっては心の病気を発症することもあります。

 

泣いている私
私も1回目のクラスター発生時に一か月半以上も自宅に帰ることができず、食欲不振・下痢・不眠などの症状に悩まされました。

 

 

クラスター終息後に退職した看護師から言われたこと

 

同僚の看護師はクラスター終息後に退職を決意しました。

同僚看護師はレッドゾーン勤務ではなかったのですが、半数の看護師がレッドゾーンを担当したため10日間の連続勤務を強いられ、クラスター発生直後は毎日のように新たな感染者が出たため、通常業務以外に隔離や消毒・家族への連絡などの業務も行う必要があり、毎日2時間以上の残業。

 

私はレッドゾーン勤務だったため、同僚看護師と会うのは新たな感染者が出た時と隔離解除の利用者がレッドゾーンから出る時でした。

あと数日でクラスターが終息しそうになった頃、

「クラスターが終息したら辞めてもいい?
もう体も心も疲れちゃった。
このままここで看護師をしていても皆に迷惑をかけてしまいそう。
家のこともちゃんとできていないし。
しばらくは仕事はしないでゆっくり休みたい。」

と同僚看護師からLINEがありました。

 

入職時からお世話になっていた同僚看護師だったので、辞めてほしくなかったのですが

「クラスターが発生して看護師はかなり大変な毎日だったから辞めたいと思うのは当然。
寂しいけど私は引き留めることはできない。
私も辞めたいと思っているし。」

と返信しました。

 

同僚看護師はクラスターが終息して二ヵ月後に退職しました。

 

勤務最後の日、「もう看護師はいいかなぁ。」と悲しそうに話していました。

 

 

まとめ

 

高齢者施設でクラスターが発生した際、次々に感染者が出てしまい、必要な治療ができずに重症化しても入院できない利用者を目の前に、

「このまま入院できなかったら?」

「いつになったらクラスターが終息するんだろう?」

と不安な日々でした。

 

泣いている私
看護師と介護職はレッドゾーン又はイエローゾーン・グリーンゾーンに分かれての勤務だったため連続勤務で休み返上でしたが、その他の職種(ケアマネ・相談員・事務職・リハビリスタッフ)はクラスター発生中もきちんと公休を消化できていました。

 

看護師であることに虚しさを感じました。

クラスターが終息したらこんな職場辞めてやるって思っていました。

 

きっと同じような思いでコロナクラスターの対応に追われた高齢者施設の看護師はたくさんいると思います。

しかし、高齢者施設の看護師は大きな病院のコロナ患者の対応にあたっている看護師のような賃上げはなく、介護職のみが対象。


政府は「多職種へ配分する柔軟な運用も認めていく考え」を示し、対象外の職種であっても補助金の一部をもらえる可能性があります。

 

 

コロナ禍で奮闘している高齢者施設の看護師にもっと目を向けてほしいです。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

 

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